第6回 インタビュー  和田 伸也(わだ しんや)さん

選手の方々にご協力を得て、インタビュー形式で掲載しています。
第6回目は、1月8日に開催された「ひらかたハーフマラソン 視覚障害者の部 10km」に出場され、40分47秒の大会新記録で1位になられた和田 伸也(わだ しんや)さんにインタビューをさせていただきました。
(大阪府盲人福祉センター点字図書館 勤務)

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Q1 1月8日の「ひらかたハーフマラソン」に参加されての感想など、お聞かせください。

前週の練習で記録を計り、39分53秒(1キロ4分ペース)で走れていたので、今大会でも39分台か40分前半で走りたいなと思っていました。当日はスタートしてから折り返し地点まで向かい風が強く、走りにくいコンディションでした。折り返し後は追い風となりペースがあがり、少し記録も意識して走ったのですが、伴走していただいた方も前半の向かい風がきつかったのでしょうか、残念ながら目標タイムにはとどきませんでした。

でも、結果的に大会新記録で走れました。
気持ちよく走れましたし、楽しい一日を過ごすことができました。
伴走していただいた方、応援していただいた皆様に大変感謝しています。

Q2 障害者スポーツをはじめられたきっかけはなんですか?また、マラソン以外のスポーツは?

まだマラソンを始めて一年くらいなんですよ。
昨年(平成18年)の3月に京都の「賀茂川パートナーズ」というクラブの練習会に参加させてもらったのが、きっかけです。

中学校、高校とラグビーをやっていたのですが、高校3年になる前に網膜色素変性症が原因で視野が狭くなり、ボールがおえなくなってきました。
大学に入学して視力もおち、スポーツとは無縁になっていました。
そんな状況が続いていたのですが、視覚障害者に向けた情報発信を目的とした、「点字毎日」という週間新聞のコーナーに知り合いの方がエッセイを投稿されていたのです。
そこで、「賀茂川パートナーズ」というクラブで、視覚障害の方が伴走ひもを利用して伴走者と一緒に季節を感じながら、楽しく会話して走っておられることを知りました。

投稿された方のことは以前からよく知っていたのですが、そんな活動をされているとは全く知りませんでした。
早速連絡をとり、練習会に参加させてもらったわけです。
はじめはゆっくり走っても、2、3キロで足が痛くなり、次の日も筋肉痛がのこり、仕事で移動するときもつらい状況があって、こんなに体力が低下していたのかと結構ショックでした(苦笑)。
それでも練習会に参加していくうちにだんだん早く走れるようになり、いろんな情報を得ることができるようになりました。
その中で、大阪にも「長居わーわーず」というクラブがあり、楽しく練習会をされているという情報を得て、今は長居にも参加しています。
練習を重ね、長い距離も走れるようになり、11月に出場した淀川市民マラソンでハーフをはじめて走りましたが、1時間35分52秒でした。

現在、マラソン以外のスポーツはやっていません。
体験ということで、ゴールボールやサウンドテーブルテニスはやったことはあります。
サウンドテーブルテニスは難しいですよね。
学生時代はラグビーをやっていたのですが、当時から持久走が好きだったんです。
だから、今はマラソンをしていて楽しいですし、一生懸命頑張りたいと思っています。
ほかのスポーツ、例えば視覚障害者サッカーに興味はありますが、自分にはマラソンが向いているのかな・・と。

(大阪府障害者スポーツ大会をご存知ですか、今年5月の大会に参加されませんか)

昨年はマラソンを始めたのが3月ということで、大阪府大会の参加申込が終了していました。 今年は是非出場させていただきたいと思います。

Q3 普段の練習はどうされていますか、工夫されていることはありますか。

一緒に走っていただけるパートナーが必要ですので、家の周りで練習すると言うことはなかなか難しいです。
私は東大阪に住んでいるのですが、練習会に参加されている伴走者のかたで、ご近所にお住まいの方に出会うことができればいいのですが、残念ながら今のところは固定の伴走者に出会えていません。パートナー探しは大変です。
ですから先ほども話しました、京都の「賀茂川パートナーズ」で第1・3日曜日、「長居わーわーず」で第2・4日曜日に練習しています。
あと、シューズなどを購入するスポーツショップが毎週金曜日に開催している練習会に参加しています。ここには伴走を申し出ていただける方がいるので・・。
私自身は、伴走者の腕の振りや身長差は気にならないので、一緒に走っていただける方がおられれば、ご連絡いただきたいですね。
筋力トレーニングについては、腹筋・背筋運動・腕立てなど自宅でできる範囲で毎日やっています。 その成果もあって「ひらかたハーフマラソン」で好成績を出せたんですかね。(笑) 当面は3月4日に開催される「視覚障害者マラソン大会 10キロの部」に出場するので、39分前半の記録を目標に、一生懸命練習しようと思っています。

Q4 振興協会に望まれることはなんですか?

マラソンをやっていて感じるのは、やっぱり伴走者が不足しています。
今年度、振興協会で伴走者養成講習会を開催していただきましたが、こういう講習会は継続していただきたいです。
今回の講習会でも、一回だけ参加された方もいらっしゃると思います。
そういう方に不安がらないで伴走していただけるよう、伴走者養成をしていただきたいと思います。 よろしくお願いします。

Q5 これから障害者スポーツをはじめようとする人へのアドバイス

 視覚障害者の方には、外出を控えておられる方も多いと思います。
そういう方に是非スポーツをやってもらいたいですね。
スポーツを通じて、外出する機会も増えるでしょうし、練習会で仲間も増え、楽しい会話の中からいろんな情報交換もできます。
私は、練習会の後、仲間と一緒に食事会などで楽しく交流していますよ。
健康にもいいですし、元気になり仕事でも疲れなくなります。
日々のストレス解消。お酒で発散するより、ずっといいことだと思います。
一歩外に踏み出せば、いろんなことが広がっていきますから、みなさん、一緒に走りましょう!
連絡をお待ちしています。

和田さん、ご協力ありがとうございました。

-次回は、3月に掲載予定です。お楽しみに!-