第14回 インタビュー  山中 巌(やまなか いわお)さん

指導者の方々にご協力を得て、インタビュー形式で掲載していきます。
第14回目は、10月に開催されました。第7回全国障害者スポーツ大会の大阪府選手団総監督を務めていただきました、山中 巌(やまなか いわお)さんにインタビューさせていただきました。

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(山中巌さん 武庫川女子大学 勤務)

Q1 障害者スポーツ指導員をはじめられたきっかけは?

ふれ愛ピック大阪が開催される3年程前に、大阪府立八尾南高校に勤務しており、八尾市教育委員会の事故防止研修会で講師をしていてその研修の終了後にある小学校の教員から重度の障害を持った児童の水泳指導について質問され、私はそれまで障害者関連の指導はしたことはなく、見当もつきませんでしたが、その小学校を訪れてみました。
その児童は両下肢に機能障害があり、水の中に入ってもバランスがとれなく、沈んでしまいます。そこで、上向きにさせて首と腰を支え浮かしたところ、なんとか浮かせることが出来ました。これはなんとかなるかなと思い、当時、八尾市では親子水泳教室が毎夏行われていて、大阪府立八尾南高校でも実施していましたので、その児童に呼びかけてみたら、参加してくれ、教室終了後も水泳部の練習中にもコースを空けて練習のチャンスを与えていました。その後、3,4年程よく練習し、平泳ぎでは300メートル背泳ぎでも長距離が泳げるようになりました。
その後、縁があってふれ愛ピック大阪の水泳監督として、指導に携わり現在に至りました。

Q2 指導方針はどのように行っていますか。

本質的には、練習の仕方について健常者と同じ練習と考えています。障害の程度には合わせて練習はしていますが、本質は健常者も障害者も同じ方針で指導しています。選手個々に合った練習をとり入れています。経験上の話になりますが、例えば、右腕の機能障害を持った選手の場合、右側の稼動範囲を広げようという指導よりも左腕を常に意識して使うようにする。そうすると無意識のまま自然に右腕の稼動範囲が徐々に大きくなり、より大きなフォームでの泳ぎが可能になります。人間の体には自然と自分自身の体のバランスを取ろうとする作用があるのです。だから、よい部位をさらに伸ばすような指導をしています。

Q3 指導員をはじめてよかったことは何ですか。

選手の成長、進歩が見られたときです。スモール バイ スモール ステップです。
小さい一歩一歩を指導していくことによって、選手が徐々に進歩して行く姿を見るのが指導者としての楽しみでもあり、選手の進歩がそこに見えてくるのが楽しいです。
選手に3段跳びみたいな指導法をするのは無理です。障害がある選手に対しては息切れするだけで、逆に障害が悪化するだけです。

Q4 大阪府障がい者スポーツ協会に望まれることはありますか。

全国障害者スポーツ大会に関しまして、より良く選手が円滑に活動できるように練習場所や大会出場時における配慮や環境を整えて欲しいです。

Q5 これから障害者スポーツをはじめようとする人へのアドバイス。

これは、挑戦です。厳しい意味での挑戦ではなくて、やってみてはどうかな、今までの枠にとらわれないで、違う世界に挑戦して頂きたいです。少しずつの進歩かもしれませんが、自分の世界が変わってくると思います。それが大事だと思います。
最初に話をしました障害を持った児童も、水泳を始めなかったら学校と家の往復だけで終わっていたかも知れません。陸上生活から水の中で自分が浮くことが出来、行動することが出来、水の中でどんどん行動範囲が広がっていき、その子の中では世界が広がっていきます。そうすると、その子の表情も豊かに明るくなっていきました。保護者の方や周囲の方の協力も必要ですが、行動する事によって多くの方の協力体制も築けるとも思いますし、人間関係も広がっていくとも思います。

Q6 これからの将来的な目標は?

身体障害者の選手年齢が高くなってきていますので、願わくは衛星都市にスポーツ施設を作って頂き、指導者を多く育成することが出来たら、もっと気軽にそれぞれのスポーツをすることが出来ると思います。大阪の場合、ファインプラザ大阪や大阪市長居障害者スポーツセンターといった施設が少なく、限定されたところに通うのではなく、各市町村に活動拠点として施設や指導員が欲しいです。そういう拠点があれば、悩んでいる人たちの悩みも解決できるのではないかと思います。身体の障害をお持ちの方はそういった施設へ行くことさえ難しいので、在住の市町村に施設が在れば行きやすくなると思います。身近な所でスポーツが出来る環境を整えて欲しいです。

山中 巌さん、ご協力ありがとうございました。

-次回も、お楽しみに!-