第22回 インタビュー  西田 宗城(にしだ ひろき)さん と 吉田 高志(よしだ たかし)さん

選手の方々のご協力を得て、インタビュー形式で掲載しております。
第22回目は全国車いす駅伝競走大会にも出場されております、西田さんと吉田さんにインタビューさせていただきました。。

Q1 スポーツをはじめられたきっかけは?

○西田氏

二十歳のときに、車の事故で車いす生活になりました。
ずっと小さいころからスポーツが好きで、野球をやっていましたので、それもあって、車いすになっても何かスポーツをしたいと思っていたのです。
でも、なかなかどんなスポーツがあるのかという情報もなくて、どうしようかと思っていたときに、たまたまテレビで「車いすマラソン」が流れていた。
その映像を見て、ただ単に、風を切って、スピードがあって、かっこ良いと思い、その姿を見て、自分もやりたいと思ったのが、始めたきっかけです。

○吉田氏

僕は、中学校のときに、陸上の短距離をやっていたこともあって、車いすのスポーツを探したら、真っ先に車いすマラソン、陸上があった。
もともと高校のときに少し野球をやっていたので、チームプレー競技を探したらバスケットボールなどがあったが、一人で練習をする分には良いが、チームでやると、どうしても相手を責める、敵に勝ちたい、そういう感じになる。 逆に陸上は、すべて自分に結果が返ってくる感じがあった。
そんな時、あるところで北海道の選手が走っているところや、練習しているところを見て、かっこいいな、やってみようかなと思ったのがきっかけでした。

Q2 練習はいつもどのように行なっていますか。

○西田氏

練習は毎日ではないのですが、週6日を目標にやっていて、1日走る距離としては、20キロから30キロ走っています。   練習をする場所は、道路や、トラックのある競技場で練習をしています。平日は、仕事が終わった後に「アミティ舞洲」まで行って、その周りを走ったり、基本的に車が少ない所で練習しています。なかなか練習環境が少ないので、尼崎記念陸上競技場などでも練習しています。

○吉田氏

僕は今、仕事をやっていなくて、マラソン一本です。
前までは仕事と両立させようと思っていましたが、このままではいけない、マラソンをやりたいのにやっていないのは、どうかなと思って、仕事を辞めて納得がいくまでマラソンをやってみようと思っています。
週1回休むくらいで、午前、午後と距離を決めてやっています。
最低30キロという感じでやっているのですが、やりたくない日もありますが、でも、最低30キロというのは決めてやっています。
練習場所は、「アミティ舞洲」と、たまに西田さんと一緒に走っているのですが、堺市のサッカー・ナショナルトレーニングセンターの自転車コースなどで練習しています。

○西田氏

走る以外に、アミティ舞洲のトレーニング施設などで、週2回とかウエートトレーニングをしています。もう少しやせないといけないというのがあって、プールで泳いでトレーニングをするというのも、少し取り入れています。

○吉田氏

僕は、筋力は走って付けたほうが良いと聞いて、極力筋トレはやっていません。上り坂を走ってパワーを付けるという感じです。筋トレをやると違う所の筋力を付けてしまって、トップスピードなどが出にくくなるので。

Q3 スポーツをはじめてよかったことは何ですか。

○西田氏
人に出会えたことだと思っています。今まで野球が好きで、車椅子になった時は、もう野球ができない体になってしまったと思い、すごくショックで、そこからの自分の人生がどうなっていくのかわからなかった。
でも、事故をしたときに、本当にいろいろな人に迷惑を掛けて、また支えてきてもらって、支えていただく人のありがたみを感じました。
支えていただく中で、陸上に出会えたし、陸上をすることで、吉田さんや陸上の仲間に出会うこととなり、スポーツを始めて本当に良かったと思っています。

○吉田氏

西田さんと一緒のような感じですね。
もともと僕は、大工をやっていて、お客さんと話をして、1戸の家を造って喜んでもらうことが結構うれしかった。
車いすになって、各地の大会などで、色々な人と出会って、障がい者だけじゃなく、人と人とで気持ちが分かり合えたことがすごく良かった。それが分かりやすくなったことがうれしかった。

○西田氏

今回の東日本大震災で、仙台のレースの時にかかわってくれたスタッフの方々も被災されています。かなりの苦労をされていると聞いて心配しているが、出会ってなければこういう現場の状況も知らなかったし、被災地の皆さんの想いを直接聞けることがなかったかもしれない。全国のレースに出場して、その全国各地でボランティアさんや、サポートスタッフさんと出会います。そういった方々との出会いが毎回楽しみです。

Q 4 全国車いす駅伝優勝について感想を。

○西田氏

優勝できたことはすごくうれしいのです。
陸上競技は、基本は個人競技なのですが、駅伝は唯一の団体スポーツが駅伝です。責任感、プレッシャーがすごく感じられるスポーツです。
当日、最終アンカーを走る予定だったので、みんながつないでくれたバトンを、「何かミスしてはいけない。」というプレッシャーを感じていました。
レース中は、向かい風もあったが、それでもチームのみんなが後押しをしてくれているような感じで、プレッシャーを力に変えることができ、ずっと追い風だった気持ちで走れました。

○吉田氏

僕は、去年も今年も1区を走ったのです。
去年は、「大阪は絶対に優勝する」という周りの声がありましたが、結局は僕がつまずいてしまって、3位になってしまったのです。
そして今年、1区を走り終わった時点で、僕はもうびくびくしていました。
今年もやってしまったと。
京都が去年優勝して2連覇だったので、今年はどこのチームよりも京都だけはマークしていたら良いと思って、マークしていたのですが、その人と一緒につまずいてしまって。これは今年も無理かなと思いました。そこから、どれだけ差を縮めてくれるかという感じでした。
後続の2区から最後の5区の仲間で頑張ってくれて、僕の失敗を巻き返してくれて、結局総合で優勝したのです。総合で優勝できたという。チームプレー。

○西田氏

1区の区間は、エース区間なので速い人たちがみんな集まっています。
だから僕たちは、全然、吉田さんがつまずいたなんか思っていませんでした。
駅伝は21.3キロの距離を走ります。
最後の最後まで1メートルも1秒もこぐのをやめずに先頭の選手に1秒でも差を縮められるようにと思ってこぎました。
みんなに繋いでもらったという気持ちがあったからこそ、一番にゴールテープをきれたのだと思っています。

Q 5 これから障がい者スポーツをはじめようとする人へのアドバイス。

○西田氏

障がいの程度・種別は様々です。僕たちみたいに中途で障がいになる方、先天性障がいのなる方、知的障がいの方、精神障がいの方、いろいろな方がいらっしゃると思います。
今までできていたことができなくなる、また、みんなができるのに自分だけができないと思い、最初は自分の障がいは受け入れにくいと思います。 でも、「できない、できない」と言ってやっていたら、何も始まらない。
そう思った時、僕は何をしたら良いのかと思って、「何かできることを探そう」と思いました。
スポーツを始める場合の一歩を踏み出すきっかけは、いろいろあると思いますが、小さなことでもいいので、「できることを探してほしい」と思います。
できることといったら、僕たちだったら腕、上肢を使って生活をする。車いすをこぐというのが、まず、どこに行くにも前提だったので、病院内や病院外を車いすで移動することから始めました。そのうち、「一人で移動してみよう」と前向きに考えていくことができ、入院中に勉強をして就職もできた。
就職ができたら、また前向きになって「次は、スポーツをやろう。」とか、スポーツをやったら、次は大会で結果を出してとか、タイムを縮めて、優勝をしてという目標を立てるようになった。
小さなことでもいいので、できることを一つずつクリアしていくことが大切なのだなと改めて感じるようになりました。
そういう意味で、「できることを探してほしい」と思います。

○吉田氏

同じような感じなのですが、障がい者になったら「なぜ、自分が。」と、まず思ってしまうと思います。でも、「なぜ、自分が。」というのを、まず取り除いて「なぜ、こうなったのだろう。」と先に思ってほしい。
僕は、もともとプロスポーツ選手になりたかったので、車椅子になってからもそういう環境を見つけた。
だから、今「自分に何ができるだろう。」とまず考えて、それでもなかなか1歩を踏み出すことができなかったけど、友達が助けてくれた。車いすだったら車いすの友達を作って、その人に引っ張ってもらっていくことも大事なのかなと。
その人に引っ張ってもらわなかったら、なかなか自分から1歩を踏み出すことはしなかったと思う。初めに光明池に行って、色々なところに行って、「吉田、舞洲行こう」と言われて初めて行って、踏ん切りが付いた。
やろうという気持ちになって、そこまで行けたら、また、次のステップに行く。
それで、今僕が走り続けているのは、やはりレースを見てもらって、何かを感じてもらえたら一番良いと思う。こいつが頑張っているのだったら、他の人も頑張れるのと違うか。と、そう思ってもらったら一番良いと思う。
「明日からまた頑張ろう。」という気持ちを持ってもらえたらと思います。

022_23.10nishida.yoshida 左から 吉田さん 西田さん

022_2-23.10menba- 駅伝メンバー

以上、車いす陸上競技 西田 宗城さん、吉田 高志さんのインタビューでした。

西田 宗城さん、吉田 高志さんご協力ありがとうございました。
ロンドン目指して頑張ってください。

※車イスマラソンに興味のある方は、「大阪ランナーズ」のホームページまで。
はじめての方もどんどん募集中です。

-次回も、お楽しみに!-