第12回 インタビュー  幸尾 大作(こうお だいさく)さん

障害者スポーツの方々にご協力を得て、インタビュー形式で掲載していきます。
第12回目は、10月に開催されます、全国障害者スポーツ大会の役員でもある幸尾 大作(こうお だいさく)さん【吹田養護学校 勤務】にインタビューをさせていただきました。

012_kouo

Q1 何故、養護学校勤務を希望され障害者スポーツ指導員になられたのですか?

大学を出たての頃は、一般校に勤務していてその当時は若いという事もあって熱い情熱で生徒の中に飛び込んでいたのですが、教職について20年位経った時、ふと気が付いたら情熱よりテクニックで生徒を指導している自分に気が付き、これでは駄目だと思い考え、悩んだ末に養護学校への転勤を希望しました。私にとって、養護学校の世界は未知の世界で、障害者教育についても、ゼロから積み上げて行かなくてはならない事など。これだと思い養護学校への転勤を希望した次第です。
また、一般校に勤務していた頃、二人の筋ジストロフィーの生徒を原学級の中で4年間担任したのも一つのきっかけとなりました。障害者の人たちの中へ入って行き障害者も健常者同様、歯を食いしばったり汗や涙を流すような、そんな頑張る場面があっても良いだろうと、障害者スポーツの中に入っていきました。

Q2 指導方針はどのように行っていますか。

指導方針としては、ある時は歯を食いしばり、ある時は楽しく、そして練習でも試合でも自己記録更新を目指すように指導しています。選手達にも自己記録更新を目指させるということは、軽度の選手から重度の選手まで条件は一緒になります。
大阪府障害者スポーツ大会や普段の記録会においてもメダルを取りましたという報告はではなく、「先生記録が伸びました」とか「次は頑張ります」という自己記録について反省し、絶えず自己記録更新にこだわるように指導してきました。メダルや賞状は後から付いてくるものと思っています。自己記録更新ができなかった選手については何故、記録が伸びなかったのか記録更新のためにどんな努力をしてきたのか自分で考えるよう指導しており、選手個々がどんな練習をしてきたのか、どんな部分が不足しているかなどの原因について選手自信に考えさせ、それに対してアドバイスをするようにしています。
また、練習内容についても何故、今この練習をしているのか。何故、必要なのか。今、体のどこを強化させているかを説明し、選手自身も考え、今まで以上に頑張れるように指導、援助しています。

Q3 指導員をはじめてよかったことは何ですか。

試合や練習会などで、選手が自己記録更新の報告に来てくれた時や記録更新は出来なかった時の悔しさや、反省を報告に来てくれたときが嬉しい時です。SYG(クラブチーム)の選手が順位よりも記録の方が大事だということが最近は保護者の中にも浸透してきたことが何よりも喜ばしい事です。
また、卒業後、就職していった選手が仕事の関係で思うように練習時間が取れなく、クラブの練習にもなかなか参加出来ない時、練習の方法やトレーニングメニューの相談に来てくれた時、練習メニューを書いてあげたり、アドバイスするのですが、その練習を夜、見に行ったら選手が一人で黙々と走っている姿を見るとすごく嬉しくて、感動すら覚えます。

Q4 大阪府障がい者スポーツ協会に望まれることはありますか。

第1回全国障害者スポーツ大会の頃は、時々スタッフと本部とのずれを感じたこともありましたが、最近では、現場の意見も聞いてくれるので、不満とか要望はありませんが、練習会など公式競技場での練習会をもう少し増やしてくれたら、リレーの練習なども回数を増やせるのになぁと本部の方にお願いしたいです。
Q5 これから障害者スポーツをはじめようとする人へのアドバイス。

まず、第一に障害者スポーツという考えを捨てる。スポーツに健常者も障害者もなく、「スポーツをしようかなぁ」からのスタートだと思います。日本ではスポーツをする時、すぐにシューズ・ジャージを着てという発想になりがちですが、日常生活の中で出来ることから始めてもいいと思います。
例えば、信号待ちで青に変わったとたん最初の一歩をほかの信号待ちの人より早く前に出るとか、スーパーで買い物をしているとき利き腕と違う方の手で荷物を持ったり、品物を籠に入れたりして反対の腕の強化や巧緻性のアップをはかったりする事など日常生活の中でも工夫次第でいくらでも運動はできます。まずそこからスタートして下さい。その後、ジャージに着替えて、シューズに履き替えて、スポーツを楽しんでください。
最初から走る距離を決めるのではなく、町内の電柱を1本走っては次の電柱までは歩き、慣れてきたら2本走って1本歩くという事を繰り返すうちに長い距離を走れるようになるので徐々に間隔を伸ばして行けば良いと思います。また、体を動かすことだけがスポーツではなく、スポーツ観戦や応援をすることによるルールの理解などもスポーツの一つだと思います。

Q6 これからの将来的な目標は?

今やっているクラブ(スポーツクラブ大阪SYG)をもっと盛んなものにしていきたいです。その為にも、指導者の養成と人数を増やしていき地域のクラブとしてのサークルが府下にもっと増えていったらいいなと思います。トップアスリートを集めてくるのでは無く、障害の重・中・軽に関係なく、スポーツをしたい人や体を動かしたい人が集まってくるスポーツクラブを少しでも多く作っていって欲しいですね。

幸尾 大作さん、ご協力ありがとうございました。

-次回は、9月に掲載予定です。お楽しみに!-